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 英字新聞を読んでいると、第一パラグラフにやたらむずかしそうな英単語が出てきます。これを俗語で「ビッグワード big words」と呼ぶようですね。

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“big words”の定義

 そもそも俗語なので、定義らしい定義はありません。だれでも編集できるウェブの俗語辞典(Urban Dictionary)の投稿を引用します。

Words that aren’t in someone’s limited vocabulary, so they accuse you of trying to “sound intelligent” when what they really mean is, clearly you are more intelligent than I am, and I should pick up a dictionary.
限られた語彙しか持ち合わせていないひとが、教養ぶるなと責めるときにつかうことば。君は賢いので、私は辞書を引かねばならないね、という意味。

 知的じゃないひとからすると「知的ぶろうとしている」ようにみえることば、という皮肉感のある語釈でしたが、おおよそ「あたまよさそうに聞こえる」と「辞書が必要」のふたつのことを言います。

用例

 先の語釈を書いたひとが載せている用例です。

Joshua: “The thing with God is he never has proven himself. People attribute things to him, however science has just as much “proof” for evolution and non creationism.”
ジョシュア:「神との関係は、彼自身の証明ではない。いくら彼のことを因果だと言い張っても、科学は〈進化と非創造論〉を証明してしまう」
Michael: “God definitely exists. I can feel his divine presence in my life. Stop using big words to sound intelligent.”
ミッシェル:「神は必ず存在している。俺は彼の存在の神聖さを感じて生きてきた。教養ぶろうとしてビッグワードを使うのはやめておけ」

 日本語でも、高水準の漢語を用いると「美辞麗句」を連ねただけだと言われることがあります。運用例としては似ているところがありますね。

 「ビッグワード」の使われかたが印象悪いとしても、ここではもうすこしフラットに、高水準の英単語、ぐらいの意味でとらえてゆきたいと思います。(そうしないといちいち「ハイレベル英単語」とか「難単語」とか「高水準の英単語」とか言わなければならないので……)

なぜビッグワードを覚えるのか

 理由は簡単です。まずはライティングですが、英語はシンプルであればあるほど悪文から遠ざかってゆきます。”The sky is blue.”とかのレベルでいいなら語彙は必要ありませんが、もっと複雑なこと(抽象的なこと)を言おうとなると、とたんにむずかしい作文をしてしまいます。

 次にリスニング。聞こえないものはわからないのです。たまになんとなくわかることもありますが、基本的にわからない単語では止まってしまいます。話す相手、スピーカーの知的レベルなどに合わせて、聞き取れる部分を増やすべきでしょう。

 最後に(取ってつけたように)リーディング。口語とちがって高水準な単語が人気なので、知っていたほうがいいです。読めたほうがいいです。

わかりやすい具体例

 英字紙”The Japan Times“から引用します。

Prime Minister Shinzo Abe became on Sunday the third-longest-serving Japanese leader in the postwar era, with 1,981 days in office, surpassing the tenure of Junichiro Koizumi, who was in office between 2001 and 2006. The figure combines Abe’s first stint in power from 2006 to 2007, when he abruptly stepped down due to ill health, with his second term, which began in December 2021.

 ”tenure“とか、”stint“など、ふだん新聞を読まないかたはあまり見慣れないのではないでしょうか。これこそがビッグワードです。

 意味はとても簡単で、”tenure“(重要な役職に就いている時期:任期)、”stint“(特殊な仕事や活動をしている期間)です。どっちも”time / period“でよくないかと思われますし、実際それでもいいのでしょうけれど、このふたつのちょっと雰囲気のあることばだからこそよいのです。

 このふたつについては、別記事で改めて解説するので、具体例にとどめておきます。

 

 というわけで、これから語彙を拾ってゆきます。一緒にビッグワードしましょう。