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 辞書を読むというプロジェクトを始めました。みなさんは好きな辞書を手にとってください。ビジュアルディクショナリーなら絵がたくさん載っています。イディオム系の辞書もあります。いろいろありますが、私は、一例として、『チャレンジ英和辞典 第五版(Challenge English-Japanese Dictionary』を読み進めて参ります。

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どんなひと向き?

 まずは「はじめに」から引用いたします。

(…)このチャレンジ英和辞典は、中学生のために編集されたものですから語の数は限られていますが、大辞典には10万語以上の語があり、一生かけても全部覚えることはできないでしょう。中学の教科書では、約1000語を学習しますが、これだけでは日常のコミュニケーションに十分な数とは言えません。単語はたくさん知っていればいるほどコミュニケーションが容易になりますから、できるだけ多く覚えるようにしましょう。

 この通り、中学生のために編まれたものだとあります。そのため基礎的な事項をできるかぎり盛り込んでいるのがわかります。発音や文法などにもわかりやすい解説ページがあって、個人的には好感を持ちました。

 この手の初学者向け辞書は、例文を読んでいるだけでも英会話やライティングの訓練になります。とてもシンプルで、使いやすいものが多いですから。(本辞書の英文校閲は川口エレンさんです)

ab-ac

 ”abandon“(見捨てる・計画などをあきらめる)――”She abandoned her hope of beginning  a teacher.“という英語らしい表現の例文がついています。

 ”abbey“(大修道院・僧院)――見出し語のみ。いきなり難単語です。例文がなかったので写真を載せておきます。

 
サンタ・マリア・モンセラート修道院付属大聖堂(Santa Maria de Montserrat Abbey Sebastian Pichler on Upslash

 ”aboard“(船内に・車内に・機内に・~に乗って)――”Welcome aboard.”(ご搭乗ありがとうございます)。”All aboard!“(みなさんお乗りください、出発!)

 (about)――”Tell me all about it.”とか、”It’s about time to leave.”などの例文もいいですね。

 (above)――”The moon and stars were shining above us.”(月と星が私たちの頭上にかがやいていた)とか、”Health is above wealth.“(健康は富にまさる)とか、”Ken is above the average in his class.“(ケンはクラス平均より成績がよい)とか、”See what is written above.“(前に何が書いてあるか見てごらん)という「本の前のほう」という意味も載せてあります。

 ”accept“(受け取る・応じる・認める)――”Please accept this gift.“(どうぞこのおくりものを受け取ってください)、こんな使いかたもあったのですね。

 ”accommodation“(宿泊設備・収容設備)――見出し語のみ。例文はありませんが、最近ではフリアコ(Free Accommodation)という概念が浸透しつつありますね。

 (accompany)――”Yuri accompanied him on the piano.”(ユリがピアノで彼の伴奏をした)。他動詞なんですね。

 (according to)――”The children were grouped according to their ages.“(子供たちは年齢によって分けられた)。

 (account for)――”No one was able to account for his absence.”(彼が欠席したわけをだれも説明できなかった)。

 ”acknowledge“[əknɑ́lidʒ](認める)――”Ken acknowledged his mistake.”(ケンは自分の誤りを認めた)。この動詞は多義語で、ウェブの英辞郎を引用しておきます。

【他動】
〔~を事実だと〕認める、承認する、同意する、認識する、受け入れる、白状する
・Everyone acknowledges that. : それは誰しも認めるところだ。
・I never acknowledge it whatsoever. : 何があろうとそれは認められない。
《法律》~を認知する、実子として承認する
〔手紙・荷物の到着を〕知らせる
〔厚意・贈り物などに対して〕礼を言う、感謝する、感謝の念を示す
〔通信や命令系統で〕了解する、受信を確認する、応答する◆【略】ACK
・Your transmission has been received and acknowledged. : あなたの伝送は受信され、確認されました。
【名】
《コ》肯定応答

 ”acorn“[éikɔːrn](どんぐり、oakの実)――見出し語のみ。もちろん載っていませんが、アメリカスラングでは狂ったやつの意味で、”acorn academy“といえば精神病科のことです。

 ”across”(横切って・わたって・向こう側に・直径で・幅で)――”The flower shop is across from the hospital.“(花屋は病院の向かいにある)、”The lake is two kilometers across.“(その湖は直径2キロです)。

ad-af

 ”adapt“(適応させる・適応する・作り変える)――”The story was adapted for the movie.

 (address)――”This letter is addressed to Ken.“(この手紙はケンあてのものです)。「手際の良さ」とか「恋人への思いやり」という意味もあるほど多義語なので、ウェブ英辞郎から引用します。

【他動】
〔問題などに〕対処する、取り組む
・Are you going to address the global warming issue at the meeting as well? : その会議では地球温暖化の問題についても取り上げる予定ですか?
・This software is still not advanced enough to address the specific needs of users. : このソフトウェアプログラムは、ユーザーの特定のニーズに合うほど高性能ではない。
〔自分の努力や注意を〕向ける、取り組ませる◆【用法】再帰代名詞を目的語に取る。
・I addressed myself to the king. : 私は王様に注意を向けた。
〔人を~と〕呼ぶ
・We don’t address our boss by his first name in Japan. : 日本では自分の上司をファーストネームで呼びません。
・”Junko!” “I don’t want you to address me like that!” : 「淳子!」「呼び捨てにしないでよ!」
・How would you like to be addressed? : あなたをどのようにお呼びすればよろしいですか?
・How may I address you? : どのようにお呼びすればよろしいでしょうか。◆Mr./Mrs./Miss./Ms.などのどれを使えば良いか、あるいは単にファーストネームや愛称で呼ばれたいかなどを確認するフォーマルな表現。
〔人に〕話し掛ける、言葉をかける、呼び掛ける
・I was addressed by a stranger on the street. : 道で知らない人に言葉をかけられた。
〔~をじかに〕言う、申し入れる
〔~に対して〕演説をする
〔郵便物などを〕人にあてる
〔宛名を〕書く

 たとえば、”a form of address“で肩書きや敬称のことになり、”put down an address“で書き留めるという意味になります。もともとの語義が「直接~に向ける」というイメージなので、演説(直接~に語りかける)とか、住所(直接~に問い合わせる/出向く)などの意味になるのでしょう。

 (admit)――”This ticket admits two persons.“(この券で2人入れます)。

 (adopt)――”They adopted the orphan.“(彼らはその孤児を養子にした)、”I liked his idea and adopted it.“(私は彼の考えをいいと思って採用した)。

 (adventurous)――見出し語のみ。”embark on an adventurous journey“(冒険の旅に出る)とか、”feel a little adventurous“(ちょっと冒険してみたい気分になる)とか、”an adventurous marriage“(冒険的な結婚)とか。

 (affair)――”It’s a big affair.“(それは大事件だ)。

 (afford)――”Can you afford the time?“(時間の都合がつきますか)。

 (afraid)――”Yuri was afraid to jump into the water.“(ユリはこわくて水の中へ飛び込めなかった)、”I’m afraid it will rain.”(雨になりそうだ)、”I’m afraid Yuri is not at home.“(ユリは留守なんですが)。

 (after)――”It’s ten after seven.“(7時10分です)。

 (afterward / afterwards)――”Yuri will come afterward.“(ユリはあとで来ます)。

ag-ai

 (again)――”I hope Yuri will get well again.”(ユリがもとのように元気になりますように)、”Ken was glad to be home again.”(ケンは家に戻ってうれしかった)、”We have to do it all over again.”(私たちはもう一度やり直さなければなりません)。

 (against)――”Don’t lean against the wall.“(壁に寄りかかってはいけない)。

 (agree)――”Japanese food doesn’t agree with him.”(日本食はジムのからだに合わない)、たしか東大の英語にもこの第二義のほうの”agree“が出た気がします。見た目以上に多義的です。ウェブの英辞郎を引用します。

【自動】
〔提案・意見などに〕同意[合意・賛成・賛同・承諾・承知]する、同感である◆【反】disagree
・They agreed to meet at the station the next day. : 二人は翌日に駅で落ち合うことを申し合わせた。
・I quite agree. : 全くその通り。/確かにそうだ。/全く同感です。
〔同一(種)の事物に関する数値や報告内容などが〕一致する
・Two watches agree. : 二つの腕時計は、同じ時刻を指している。
・Two of a trade seldom agree. : 商売敵は気が合わぬもの。
性に合う、仲良くやっていく
〔飲食物・気候などが人の〕体に合う
・The climate agrees with me. : その気候は私の体に合っています。
・Fatty foods don’t agree with me. : 脂っこい食物は私に合いません。
【他動】
〔~ということを〕認める

 ”aide“[éid](側近・補佐官・助手)――見出し語のみ。”aide close to“(~の側近)のような使いかたもしますね。”aided by the addition of~”(~を加えることによって促進される)。この語は、おそらくフランス語から来ていると思われます。フランス語に”aide-mémoire“(備忘録:to aid memorymemorandum)ということばがあります。フランス語での発音は「エッドゥ」です。

 (aim)――”Yuri always aim for perfection.”(ユリはいつも完ぺきをめざしている)。

 (airfield)――「(小さな)飛行場」とだけありました。要するに設備のない飛行場で、設備があるものは”airport“と言います。


Paderborn-Lippstadt Airport, Paderborn, Germany, Stefan Widua on Upslash

 ”aisle“[áil](座席間の通路)――”an aisle seat“(通路側の座席)。ちなみに窓側は”window seat“です。発音に難がある単語で、ふつう”a”にストレスがあるときは、[ei]と発音するのですが(たとえば”say“)、この単語は「アイル」と発音します。

 もともとのラテン語は”ala“[]で、翼のことを意味します。それが教会の翼廊(側廊)を意味する”aile / eile / ele / ile(アイル)”となってゆきます。翼廊がわからないひとのために、写真をお借りしました。教会の十字架の横向き部分ぜんぶを「翼廊 Transpet」と呼びます。


Kölner Dom, Cologne, Germany, Liane Metzler on Upslash

 当時の15世紀フランスでは、”etymological respelling“といって、フランス語のスペリングを、その語源であるラテン語に近づけようという有識者運動がおこりました。そこで”insula“(島)というスペルに近づけるため、”ile“(イール:島)というフランス語が”isle“になります。

 さきほどの教会の翼廊を意味する”ile“(アイル)も、おなじスペルだったため”isle“にされてしまいました。その後、フランスのほうで”aile“で「翼」を意味するようになり、それを英語に取り込んで”aisle“になります。さらに「通路」を意味するフランス語の”allée“と似ていることから混同が起こり、「翼」と「通路」の意味を受け継ぐことになりました。

 英語には、スペリングと発音が「なんかちがう」ものがいくつかあります。それはだいたい、こういう(フランス語からの)借用事情が原因です。

 今日は、ここまで。追加情報をそこそこ盛り込みましたが、辞書を読んでゆくとたのしいです。英会話で使いやすそうな例文と出会えるのも、この手の辞書の強みでもありますね。