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 印象のギャップというのは、たしかに強烈です。ずるいです。だからどうしても気に食わないと〈そいつはワルですよ〉と告発して足を引っ張りたくなるのが人間というものでしょうか。

 そんなじぶんのエゴを正当化するために用いるのが「善悪は平均値が全てだ」という考えかたです。

 つまり、「20回の不良行為と4回の優良行為」と「0回の不良行為と0回の優良行為」だったら、後者のほうが偉いという考えかたをするわけです。

 ほんとうにそうなんでしょうか。

 すごく説得力があるような気もするけれど、ちょっと立ち止まってみるとそれほど正しいことを言っているわけでもないと気づきます。

 そもそも、平均値をとってなにがしたいのでしょうか。平均値すなわち正義なのでしょうか。私の年収が200万円で、あなたの年収が2,000万円で、その平均値は1,100万円になります。それって誰の年収なんでしょうか。なんのための数字なのでしょうか。

 捨て猫を拾った不良が、その裏で100回の不良行為をしていたからといって、その「捨て猫を拾った」が削除されるのでしょうか。その一方、とある活動で300の人命を救ったひとが1回だけ殺害事件を起こしたらセーフになるのでしょうか。

 行為の善悪は、足し引きではないと思います。気に食わないことはありますが、他人と回数を比べるものでもないと思います。


画像:Steve Richey