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 合衆国や日本の時尚をフォローして、インドの食文化をひとつ取り入れました。「Ghee Easy(ギーイージ)」です。カルディで購入しました。

 ギーというのは、インド亜大陸のバターです。料理をするひとは「澄ましバター clarified butter」と言えばわかりやすいかもしれません。フランス語では後置修飾になるので「ブール・クラリフェ beurr clarifie」です。

 語源的には、サンスクリットの「グルタ ghṛta-」から来ているらしく、意味としては「撒き散らされた」という感じと言います。古来のイメージでは、撒き散らす感じだったんですかね。そう考えると「澄まし」という日本語訳は、なかなか上品です。

 そんなことはどうでもよく。

 感動したというか、買ってみて改めて考えさせられたことがありました。表示に「グラスフェッド grass-fed」と書いてあるんですね。すごくどうでもいいことかもしれないけれど、牧草飼育は普通ではないんだなと思い知らされました。

 つまり、なんとなく牧草で育てられている(優雅で広大な)イメージがあったのですが、わざわざ表示するほどには〈普通のこと〉ではないんだな、と感じました。

 だからなんだという話でもありますが……。

 そもそも、ギーを投入して飲むコーヒーがシリコンバレーで発明され、日本では「防弾コーヒー/完全無欠コーヒー」として知られています。

 原文では「bullet proof coffee」なので、「完全無欠」は意訳と思いがちですが、スラングで「人間離れした忍耐力」を意味することもあるので、意訳と決めつけるには早計かもしれません。

 せっかくなので若者の辞書を引いてみましょう。載っていた用例はアレだったので、見るか見ないかは読者さまにおまかせします。

To be able to withstand the negative emotional/mental aspects of the life; includes relationships, friends, family and all drama in general.
人生(たとえば人間関係・友人・家族・その他すべての要因)で起こりうる受け容れがたい気持ちにも折れずにいられること。
――Urban Dictionary “bulletproof” by dan!  訳=あいさか

 私は日本語っぽい訳を目指すひとなので「折れずにいられる」としましたが、ニュアンス的には「どんな批判も受け付けないぜ」ぐらいだと思います。人間離れしたレジリエンスですね(もちろん強調表現でしょうけれど……)

 そんなこんなで、これからインドの神聖な風を感じながらコーヒーを飲もうと思います。