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 本日のビッグワードは”be awash in sth“です。

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原文をちょこっと解説

 ”The Japan Times, 26 million painful deaths a year blamed on a lack of opioids, 2017 Oct 14“からの引用です。

Although the U.S. is awash in opioid painkillers, nearly 26 million people around the world die in pain each year because the drugs are rare or unavailable in dozens of poor countries, says a new report. The challenge is to improve palliative care in low-income countries while avoiding mistakes tha led to the U.S. addiction crisis.
「合衆国はオピオイド鎮痛薬の洪水に遭っているというのに、一年ごとに約2,600万人が世界中で痛みながら亡くなり、薬剤の希少価値は高いまま数十の貧しい国では手に入らない状況だ」と新たに報告された。問題となるのは、低所得国内での緩和ケアを改善と、薬漬けクライシスに陥っている合衆国の二の舞を踏まないことだ。

オピオイド

 オピオイドというのは、ケシからとれるアルカロイドや化合物のことで、端的に言えば「麻薬成分」になるものです。1990年より前は鎮痛薬として処方されていましたが、それ以降は頭痛や腰痛などにも。高揚感を得たいひとたちのあいだで「液体化して注射する」摂取方法がひろまり、注射の使いまわしでエイズウィルス(HIV)の被害もあるそうです。

緩和ケア

 緩和ケア(palliative care)というのは、疾患に対する治療行為ではなく、病気の脅威にやられている患者や家族をケアすることをいいます。痛みを取り除くこと、倦怠感や悲壮感を軽減することなど。

英語の順番

 ライティング的には、二文目の”The challenge“に注目です。英語はシンプルこそ正義という話をしましたが(参照:『Today’s Big Words(1)』)、なおかつ「古い情報」から「新しい情報」へと流れてゆきます。一文目で「アメリカが薬漬け(旧 ※読者の知っていること)→逆に世界では薬が手に入らない(新)」として、二文目で「その課題は(旧)→緩和ケアの改善とアメリカを反面教師に(新)」としています。

 ”the challenge“によって、一文目をまとめあげていますね。この「旧→新」の流れが、英語では正しいことになっていて、徹底的に実践すると「自然な英文」に見えるということです。

“awash”(あふれている)

 さて、本題です。見ての通りですが、接頭辞「a-」+動詞「wash」を組み合わせた語彙です。そこそこボキャブラリーを増やしたひとであれば、「afloat」とか「asleep」などで見覚えがある形でしょう。

 しかし、この接頭辞「a-」は、そこそこ複雑な派生をしています。もともとは前置詞「on」「at」だったというのが言語学の見方です。「on」を弱く発音するので「o」になったり「a」になったりしていました。それが名詞などとくっついて、「on fireafire(燃えて)」という感じの形になりました。

 ほかにも、中学校で習う”twice a day“という表現も、”twice on  one day“だったというふうに言われています。

 この「ona」について、『オーレックス英和辞典』から引用します。

a- *1(接頭)
①「~の中で、~の中に、~の上に、~において、~へ」などの意
 abed, ashore, afire, aloud, aboard
②(動名詞につけて)「~するために、~の最中で」の意
 go a-hunting

a- *2(接頭)
①「上へ、外に」などの意(現在では主に強意)
 awake, arise
②「~からの、~の」の意
 akin
③「非、無」などの意(母音の前では”an-“を用いる)
 amoral, asymmetry, anarchy
④”ab-“、”ad-“の異形
 aversion, ascription

 また、もともとの”wash“は、”water“からきています。そのため「打ち寄せる波」という意味や、「浸食する」のような意味まで幅広い多義語です。それが”on washawash“になると「covered or flooded with water, especially seawater or rain/水で覆われたり水浸しになったりすること、主に海水や雨水で(『オックスフォード新英英辞典』)という意味になります。


画像:Brunel Johnson