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 今日も語彙を拾ってゆきます。おさらいですが、ビッグワードというのは「①知的に聞こえる、②辞書を要する」ということでした(参照:『ビッグワードとは? 辞書を要する高水準な英単語』)。

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原文をちょこっと解説

 原文は、”The Japan Times“(2017.05.28)からです。

Prime Minister Shinzo Abe became on Sunday the third-longest-serving Japanese leader in the postwar era, with 1,981 days in office, surpassing the tenure of Junichiro Koizumi, who was in office between 2001 and 2006. The figure combines Abe’s first stint in power from 2006 to 2007, when he abruptly stepped down due to ill health, with his second term, which began in December 2021.
日曜、安倍首相は戦後日本で三番目に長く続いている元首となりました。公職期間の1,981日は、小泉純一郎の2001年から2007年までの在職期間を上回る日数です。この日数は、体調不良で急に降りることとなった2006年から2007年までの第一次安倍内閣と、2012年の12月に再開した第二次安倍内閣を合わせたものです。

 最初の「Abe became the third-longest-serving Japanese leader」は、すっきりした名詞表現です。たとえばこれを、「Abe became the Japanese leader who served the third longest」としてしまうと、まどろっこしくなります。関係代名詞でくっつけたくなる情報を、中心となる名詞(Japanese leader)の前にまとめて出してしまうとすっきりします。いわゆる「自然な英語」に近づきます。

 そして、このように「順位」の表現をしたときは必ず「基準」も一緒に書くのが英文ライティングの基本です。ここでは「in the postwar era」(戦後)とあります。ほかにもクラスで三番目に背が高いとか、先進国で最も経済成長しているとか、どんなグループで何番目なのか、ということを示します。

 また「Koizumi was in office between 2001 and 2006」とありますが、こちらの文型は、大学で文法を学ぶと「SVA(主語+動詞+副詞)」というふうに教わります。おそらく受験生は「SV(主語+動詞)」と言われますが、このように義務としてしょうがなく入ってくる副詞のことを「A(adverb)」としてカウントするのです。

 たとえば簡単な例文だと「I lived in Tokyo.」(東京に住んでいた)というときの「in Tokyo」は、書かなければならない部分です。なぜなら「I lived.」(私は生きていた/生活していた)だけでは不十分に思われるからですね。つまり、「I lived.」と言ったときに、おそらく聞き返されるであろう「Where?」(どこに?)という情報は、義務的にぶちこまなければならないので文型として数えられる、という判断です。

“tenure”(保有期間、在職期間)

 さて、本題のビッグワードです。たまたまふたつありますが、そのうちのひとつ”tenure”[ténjər]です。『英和活用大辞典』を見てみます。

acquire [get] tenure at a university(大学での終身在職権を得る)
be granted tenure at Harvard(ハーヴァード大学で終身在職権をもらう)
receive tenure from a university(大学から終身在職権をもらう)
abolish life tenure for bureaucrats(官僚の終身在職を廃止する)
academic tenure(大学での終身在職権)
give sb tenure(人に土地保有権/身分保障権を与える)
security of tenure(土地保有の確実性)
an employee’s service tenure(従業員の在職期間)
feudal tenure(封建制度の土地保有)
tenure  for life(終身土地保有権)
a precarious tenure(不安定な地位)
On what tenure does the tenant hold the land?(どんな保有条件で借地人はその土地を借りているのか)

  「テニュアはテンイヤー(”tenure” is ten-year)」のような覚えかただと忘れないかもしれませんね。とにかく重要な職業の条件付き期間のことです。

 「tenure-track」と言えば、一生安泰コース、みたいなニュアンスが出せますね。

“stint”(制限、定量、一定期間の仕事、勤務期間)

 「stint」は、動詞で使うこともあります。食料や金銭を出し惜しみすること、切り詰めることです。そこからけちくさいことや倹約することも表現します――”He stints himself of sleep.“(彼は睡眠を切り詰めている)”She never stinted herself of anything.“(何も切り詰めたりしなかった)〔『英和活用大辞典』〕。

 今回は名詞のほうで「制限された期間」のことです。『英和活用大辞典』を見ます。

do one’s daily stint(日々課せられた仕事をする)
do one’s nightly stint(夜の仕事をする)
a brief [long, prolonged] stint(つかの間の仕事、長い仕事)
My stint ends [comes to an end ] next year(私の任期は来年終わる)
put in a stint as chairman of a committee(委員長としての任期を果たす)
serve a two-year stint as a naval officer(海軍将校としての二年の任務につく)
begin [finish] a two-year stint in the Army(陸軍での2年間の任務につく/を終える)
after the stint in the Army(陸軍での勤めを終えたあと)
without stint (惜しみなく)

 使いたい表現が揃っていますね。これだけ例文を見れば、そこまで理解に苦しむ単語というわけではないでしょう。”work“という漠然とした感じではなく、一過性というか、契約期間がある専門的な感じがしますね。

 

 このような感じで、語彙を拾ってゆきます。それでは、また。


画像:John Bakator